飯能市内に位置する曹洞宗の能仁寺は、500年以上の歴史を持つ寺院です。
美しい庭園があることで知られ、人気の観光スポットとなっています。西武池袋線の飯能駅から徒歩約20分、さらに近くまで行くバスも通っています。
本尊は盧舎那仏、所有する文化財は出山の釈迦立像と伽藍観音像があります。伽藍観音像は、江戸の将軍徳川綱吉の生母、桂昌院が寄進したものと言われています。
能仁寺の歴史
能仁寺の創建は1501年。現在の飯能にあたる地域を統治していた豪族の中山家勝が、曹洞宗の僧を招いたのが始まりだと伝えられています。実際に寺院を建てたのは家勝の息子で、家勝の死後、冥福を祈るために建設したと言われます。
その後、徳川家の庇護を受けてより大きく本格的な寺となった能仁寺は1705年に改築され、修行僧を50人も抱える寺として栄えました。
1868年には、戊辰戦争の中の一戦の舞台となります。戊辰戦争とは、明治政府を樹立した新政府軍と、旧幕府勢力および反維新政府の奥羽越列藩同盟が戦った大規模な戦争です。
幕府派であった彰義隊から脱退した者で結成した振武隊は、能仁寺を本陣とします。しかし、新政府軍による攻撃で寺は焼失、敗戦は確定的となりました。この時に寺はなくなってしまったため、本堂だけが1936年に再建されました。戦後から徐々に復興を果たし、山門、大書院、鐘楼などを備える現在の姿となりました。
能仁寺の見どころ、池泉鑑賞蓬莱庭園
この寺院で最も有名なのが、日本の名園100選にも入っている鑑賞式庭園です。324坪の広さを誇るこの庭園は、天覧山の斜面をうまく生かし、上下2つにわかれた構造となっています。上部背景に枯滝(水のなくなった滝)、下部に池泉を配します。広大な敷地の中には、各種の小島、築山、洞窟などがあり、見る者を飽きさせません。
歴史は古く、作法から桃山時代後期の作庭とされており、大正時代に市から文化財として指定されました。
能仁寺周辺の観光スポット
能仁寺周辺は、比較的静かなエリアですが、各所に観光スポットがあります。能仁寺の庭園の一部ともなっている天覧山は標高197mとごく低い山で、ハイキングに最適です。ハイキングコースの中腹では、徳川将軍綱吉の生母、桂昌院が綱吉の病気快癒を祝って奉納した十六羅漢を今でも見ることができます。
諏訪八幡神社、観音寺などその他の寺社仏閣もこのエリアにある他、鉄腕アトムの彫像がある中央公園は春には桜の名所としても知られています。能仁寺と共に、こうしたスポットを回ってみるのもおすすめです。
また、近年では漫画、アニメ『ヤマノススメ』の舞台が飯能であることから、ファンが聖地巡礼するエリアともなっているようです。